健康寿命の延伸と国民の健康リテラシー向上を目的に、健康食品の受託製造企業らが集う「日本橋ヘルスケア学院」 (今西信幸学院長)が、このほど第 1 回の講座を開いた。同学院の今村朗理事長は、「健康寿命延伸における健康食品の役割は大きいと認識しているが、国民にその役割、ひいては製品の安全性や機能性が十分に伝わっていない」「当学院で学びを得て、我々こそヘルスケアの重要なポジションにいるとの自覚を持ち、ヘルスケア産業の発展に一層貢献したい」と語っていた。 (文責=八島 充)
日本橋ヘルスケア学院は、健康寿命延伸という国家的課題に応える学びの場として日本ヘルスケア協会(JAHI)によって創設された。理事長の今村氏は三生医薬株式会社の代表取締役かつ、健食受託製造の新団体として今年1月に発足した一般社団法人日本健康食品工業会(野々垣孝彦会長、日健工)の専務理事も務めている。同学院の受講者は日健工の会員すなわち健食の受託製造企業が中心で、その運営も日健工の企画調査委員会が担っている。
今年度は9月25日の第1回講義を皮切りに、2026年8月までに年間6回の講義をおこなう。前述のように現在の受講者は日健工会員が中心だが、将来的には一般生活者にも広く開放し、資格制度なども検討しながら、国民1人1人の健康寿命延伸に資する活動へと発展させていく構想を持つ。
初回の講義に先立ち、今村理事長は以下のように挨拶している。
「先日ふと立ち寄ったコンビニで、“健康”や“老い”をテーマにした雑誌が数多く並ぶのを見て、ヘルスケアに対する興味関心の高まりを改めて感じた。一方、興味関心は高まっているものの、ヘルスケアに対する国民の知識は十分ではない。そのリテラシーを高めるためにも、まずは我々自身がヘルスケアに対する理解を深める必要がある。
健康食品だけで健康寿命延伸は実現しないが、道具の1つとして健康食品が果たせる役割は大きいと考えている。しかし、国民にその役割、ひいては製品の安全性や機能性が十分に伝わっていないのも事実。健康食品の役割を正しく伝え、信頼性を高めることは、我々受託製造企業の使命である。
当学院での学びを通じて、我々こそヘルスケアにおける重要なポジションにあるとの自覚を持ち、一層の誇りを持って仕事に取り組みヘルスケア産業の発展に貢献したい。なお、今回は主に製造に関わるメンバーに集まってもらったが、今後は営業や管理部門を含めて、多くの仲間に受講の機会を広げていきたい」
第1回講義に登壇した今西学院長は、JAHIの会長であると同時に現職の医師である。また薬科大学理事長ならびに日本チェーンドラッグストア協会事務総長を歴任するなど、医・薬・食(の流通)に精通している。その独自の立場から、「なぜ今、“ヘルスケア”が必要とされるのか」というテーマで講演した。
90分に渡る講演の中で今西氏は、ヘルスケアすなわち予防は医療と皆保険制度を守るために必須であること、また治療が医を頂点としたヒエラルキーであるのに対し、予防の中心は食であることも強調。政策内容で分かれる関係省庁の連携を促しヘルスケア産業の発展に寄与することがJAHIの役割であると述べている。 なお全6回の講義は、日本橋ヘルスケア学院の参画企業(日健工会員ら)にアーカイブ配信する。第1回配信は10月初旬を予定している。全6回の講義内容は以下の通り。