公益財団法人日本ヘルスケア協会 公式サイト

【レポート】第6回中野健幸どまんなか市/官民連携で福祉の未来を描く

6月25日、26日の2日間、公益財団法人日本ヘルスケア協会と東京都中野区は、2024年に締結した協定に基づき、区民の健康づくりを目的としたイベント「中野健幸どまんなか市」を共催しました。当日は雨天にもかかわらず、2日間で700名を超える中野区民が来場しました。行政と民間企業が連携し、生活者との接点を広げながら、これからの福祉や地域の健康づくりのあり方を考える取り組みとなりました。(記事=八島 充)



他自治体からも注目されるイベントに


中野区と日本ヘルスケア協会(JAHI)は、2024年2月に「中野区地域包括ケア推進パートナーシップ(NIC+:ナカノ・インクルーシブ・ケア・パートナーシップ)協定」を締結しました。この協定に基づき、民間企業、大学、団体などが持つ資源やノウハウを活用しながら、地域包括ケア体制の充実に取り組んでいます。

その一環として、2024年9月から継続的に開催しているのが「中野健幸どまんなか市」です。中野区役所のホールやミーティングルームを会場に、健康測定や健康相談のほか、健康づくりに役立つサービスの体験、商品の紹介などを行っています。民間企業が前面に立ち、区民と直接つながることができるイベントです。

通常、自治体は公平性の観点から、民間企業との関わりに一定の距離を置くことがあります。今回の取り組みでは、ヘルスケア産業の振興に取り組むJAHIが間に入ることで、自治体と民間企業の協業を実現しました。公共性を前提にしながら、民間企業の力を地域の健康づくりに生かすこの取り組みは、他の自治体からも注目されています。

6月25日、26日に開催された「第6回中野健幸どまんなか市」は、台風の影響も心配される中での開催でしたが、朝から多くの区民が来場し、盛況のうちに終了しました。来場者は、これまでにも参加している高齢者が多く見られましたが、子ども連れの方、学術関係者、学生など、初めて訪れた人の姿もありました。来場者は、それぞれ関心のあるブースを巡りながら、健康に関する情報や体験に触れていました。



特に人気を集めたのは、JAHIが誘致した民間企業による健康測定です。第1回から継続して出展している骨密度測定には、今回も連日長い列ができました。





健康度・幸福度を高め、通院機会を減らす



「中野健幸どまんなか市」を初回から企画してきたJAHI中野健幸どまんなか市アドバイザーの福田英二さんは、イベントの意義について次のように話します。

「高齢化や独居の増加により、地域の交流が少なくなっている今、行政主導の医療・介護だけでは、地域全体を十分に支えることが難しくなっています。この課題を解決するには、行政の目線を生活者の近くまで下ろす必要があります。そのために中野区は、生活者と接点を持つ民間企業との連携に理解を示しました」

また、JAHI理事で帝京平成大学教授の小原道子さんは、このイベントの成果について、「ここで健康測定を受けた結果、医療機関を受診した方や、毎回の測定結果を保管し、自分自身の健康管理に生かしている方が増えていることが成果の一つです」と語ります。

今後は、第1回から蓄積している骨密度測定のデータを、行政と連携しながら個人の健康づくりに活用していくことも検討しています。
小原さんは、「データを検索できるシステムを構築し、測定結果が良い方向に向かっている方にインセンティブを提供するなどして、健康度や幸福度を高めたいと考えています。結果として、病院に行く機会を減らすことにつながるような活動にしていきたいです」と話していました。


民間に求められる公的な視点


経済、福祉、教育、防災など、行政に求められる役割は多岐にわたります。その土台にあるのは、「健康で安心して暮らせる社会」です。
しかし、少子高齢化による財政上の制約、地域による格差、医療費の増加など、社会課題は複雑になっています。行政だけですべての人に公平で安全な支援を届けることは、年々難しくなっているのも事実です。

一方で、民間企業は、生活者一人ひとりの細かなニーズを捉え、多様なサービスを提供する力を持っています。健康関連領域でも、新しい商品やサービスを生み出し、生活者の暮らしに近い場所で役割を果たしています。

これからの行政には、「誰もが最低限の健康を維持できる仕組み」を設計しながら、民間の力を上手に取り入れていく姿勢が求められます。同時に民間企業にも、「社会全体の健康にどう貢献するか」という公的な視点を持ちながら、事業活動を進めていくことが求められます。

JAHIは、行政と民間がそれぞれの強みを生かし、役割を分担しながら連携することは、これからの社会にとって重要な取り組みと位置付けており、「中野健幸どまんなか市」が、地域の健康づくりを支える場として、今後も継続してい期待と考えています。

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